身体と霊性 Ⅴ

 

仏教とボクシング~殴り合いの身体論

樫永真佐夫×藤田一照

 

仏教とボクシング。一見すると縁遠そうな二つの世界をめぐって、ボクサーの文化人類学者・樫永真佐夫さんと、身体論に造詣の深い僧侶・藤田一照さんが語り合います。仏教大国のタイで、キックボクシングが盛んなのはなぜでしょうか。日本でも僧侶でボクサーという存在が生まれるのはなぜでしょうか。ボクサー(=闘拳の選手)のような姿の不動明王を本尊にする目黒不動尊で、画期的なトークイベントを開催します!ぜひご観覧ください!

 

<樫永真佐夫さんより>

拳で殴るのは、直立二足歩行で手が自由になったその身体的特性ゆえに、きわめて人間的な暴力である。この闘争形態を基盤として、ルールや制度、名誉の観念、神話、メディア、モノ、資本主義などと結びつき、ボクシングはスポーツとして成立し社会で消費されてきた。この講座では自身の経験も交え、身体、痛み、暴力などをキーワードに文化史的にボクシングを取り上げたい。ITの発達と普及により、コミュニケーションから加速度的に身体性がそぎ落とされていく現状ゆえに、身体と知のかかわり合いについて考えるヒントが見つかれば幸甚である。

<藤田一照さんより>

武術もちょっと齧ってきたし、ボクシング漫画も愛読してきた。「禅はこんなにソマティック!?」と禅の身体性を強調してきた僕には、文化人類学者ボクサー樫永さんとお話ができるこの機会は、うまそうな匂いのするご馳走以外の何物でもない。禅の歴史にも師が弟子を殴るという物騒な指導方法が時折見られる。きっと殴り合いになった例もあるに違いない。禅におけるそんな「拳」ネタをいくつか紹介して、対談の話題提供としたい。

※13:30より、目黒不動尊の瀧口住職による境内案内がございます。参加を希望される方は、山門にお集まりください。


樫永真佐夫 Kashinaga Masao

1971年兵庫県生まれ。国立民族学博物館教授、総合研究大学院大学教授。東京大学大学院総合文化研究科単位取得退学。博士(学術)。専門は文化人類学。ベトナムの少数民族黒タイの研究者という看板をよそに、ボクシング、渓流釣り、イラスト描き、料理その他諸活動を展開。主な著書に『道を歩けば神話−ベトナム・ラオス つながりの民族誌』(左右社)、『殴り合いの文化史』(左右社)、『黒タイ歌謡<ソン・チュー・ソン・サオ>−村のくらしと恋』(雄山閣)ほか。第6回日本学術振興会賞受賞(2010年3月)。

藤田一照 Fujita Issho

僧侶、曹洞宗国際センター2代所長。1954年、愛媛県新居浜市生まれ。東京大学大学院教育心理学専攻博士課程に在籍中、坐禅に出会い深く傾倒。大学院を中退し、禅道場に入山して得度。その後渡米し、以来17年半にわたってマサチューセッツ州ヴァレー禅堂で坐禅を指導する。2005年に帰国し、現在、神奈川県葉山の「茅山荘」を中心に坐禅の研究、指導にあたっている。著書に『現代坐禅講義』『現代「只管打坐」講義』『禅 心を休ませる練習』、共著に『仏教は世界を救うか?』『禅の教室』『アップデートする仏教』『〈仏教3.0〉を哲学する』など。


概要

日程  2024年3月1日(土)

時間  14:00〜16:30

受講料 一般 2,500円+護摩木代1000円

    会員 2,000円+護摩木代1000円

    学生 1,500円+護摩木代1000円

    会員学生 1,000円+護摩木代1000円

 

会場  目黒不動尊・書院
           (東京都目黒区下目黒3-20-26)

※本講座は、対面講座です。オンラインでのライブ配信はございません。

 

※本講座の収益は、東京自由大学の島薗進学長が会長を務める宗教者災害支援連絡会を通し、能登半島地震の被災地に寄付いたします。


お申し込み

お申込みの前に必ず受講規約をお読みください。

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