異界の声、常世の歌
第2回:「流浪のうたびと〜アフリカの吟遊詩人、さまよい安寿」
川瀬慈×姜信子
エチオピア高原の楽師(アズマリ)や吟遊詩人(ラリベロッチ)を中心にアフリカの音楽文化に関する人類学研究、民族誌映画制作に取り組み、文化の記録・表現の地平を開拓する川瀬慈さん。一方、瞽女のごとく、熊野比丘尼のごとく、説教祭文語りのごとく、虐げられて声を奪われた無数の死者たちの<声>を拾いあつめ、自らもまた「さんせう太夫」の安寿のように旅をつづける姜信子さん。今回はそんなお二人のお話と対談から、流浪のうたびとに迫り、歌をたずさえ旅してきた人類の根源を見つめます。
川瀬慈 Kawase Itsushi
映像人類学者、国立民族学博物館/総合研究大学院大学准教授。1977年岐阜県生まれ。人類学、シネマ、現代アートの実践の交差点から、イメージや音を用いた話法を探究する。代表的な映像作品に『ラリベロッチ――終わりなき祝福を生きる』『僕らの時代は』『精霊の馬』『Room 11, Ethiopia Hotel』(イタリア・サルデーニャ国際民族誌映画祭にて「最も革新的な映画賞」受賞)など。著書に『ストリートの精霊たち』、共編著に『アフリカン・ポップス!――文化人類学からみる魅惑の音楽世界』『フィールド映像術』など。
姜信子 Kyo Nobuko
作家。1961年横浜市生まれ。東京大学法学部卒業。1986年、『ごく普通の在日韓国人』でノンフィクション朝日ジャーナル賞を受賞。人間を囲い込む「国家」「民族」あるいは「在日」といった言葉からこぼれおちるもの、ひそやかな声を追いかけて、越境の旅を続ける。著書に『日韓音楽ノート: <越境>する旅人の歌を追って』『棄郷ノート』(熊日文学賞)『ナミイ! 八重山のおばあの歌物語』『声:千年先に届くほどに』(鉄犬ヘテロトピア文学賞)『平成山椒大夫』『現代説経集』、共著に『追放の高麗人』(地方出版文化功労賞)、編著に『死ぬふりだけでやめとけや:谺雄二詩集』ほか多数。
概要
(終了しました)