【食べること、生きること】
「自閉症・発達障碍者支援と啓発活動に取り組んで~花づくりから農業と福祉をつなぐ~」
武田和久×藤村出
コーディネーター:島薗進
農福連携という言葉もあるが、障碍者福祉と新たな農業を結び付ける試みが進んでいる。これを発達障害者の支援という側面から見ると、どのように見えるだろうか。
武田和久さんは企業人としてのキャリアを振り捨てるようにして、「農業と福祉」をテーマに、八ヶ岳南麓で障碍者支援活動に取り組み、27年となる。風光明媚な地で花づくりを開始、障碍者支援活動では花とパンづくりの施設内就労から始まり、環境の変化により外部就労支援へと転換、これまで大勢の利用者を就労に導いてきた。現在は、埼玉県三郷市に新たに障碍者支援事業所を開所、3年前からは有機野菜農家の障碍者の働く場づくりへの支援活動と、それぞれの地域特性を生かしながら、「障碍者が地域の中で当たり前に暮らせる社会を」という一貫した理念の元で新たな展開を模索している。
この活動に早くから協力してきたのは、発達障害、とりわけ自閉症とされる人たちの支援に取り組んできた藤村出さんだ。自閉症や発達障害をもつ人たちの世間における理解・認知がなかなか進まない状況を背景に、その理解・認知を進めながら、教育や福祉の世界でのこの課題の改善を進めてこられた。自閉症や発達障害といわれる障害は、いったいどんな障害なのか。アメリカノースカロライナで試みられてきたTEACCH(ティーチ)を日本に紹介する活動を通じて考えて来られたことをお話しいただく。
障碍者支援を通して日本社会の目指すべき新たな方向性をともに考えていきたい。(筆:島薗進)
藤村 出 Fujimura Izuru
神奈川の施設で自閉症のひとを支援する仕事に就いたが、どうしたらいいかよくわからないまま数年が過ぎる。本を読みあさったり、有識者の講演などを数多く聴くが、どれも???なんとなく信用できそうなのが、恩師であった佐々木正美医師。学びを深める中でたどり着いたのがアメリカノースカロライナのTEACCH。現地での数年の研修の後、帰国。日本にTEACCHを広める役割を担った。現役を引退して長野で仙人暮らし。ローカルな障害支援団体の仕事を手伝いながら、緑の風の運営に携わり、現在に至る。(社福)緑の風業務執行理事。
Takeda Kazuhisa
幼少期から大学卒業まで神戸市で過ごす。卒業後、医薬品会社に勤務、一貫して国際活動に従事。5年半駐在した西ドイツ(当時)ハンブルグにて、社会的弱者への理解の高さに感銘を受け、その経験が「農業と福祉」プロジェクトの立ち上げに繋がる。庭いじりが趣味、花を育てることが人の心身にプラスに導くとの考えから、八ヶ岳南麓に移住して農業生産法人「緑風舎」を1999年に設立、温室での花づくり開始。福祉に関しては全くの門外漢だったが、障碍のある人との協働の場をつくりたいと、2002年、障碍者支援事業所社会福祉法人「緑の風」設立、理事長に就任、現在に至る。
島薗進 Shimazono Susumu
宗教学者/東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、大正大学客員教授。1948年生。東京大学大学院博士課程・単位取得退学。東京大学大学院人文社会系研究科・教授、上智大学大学院実践宗教学研究科・教授、上智大学グリーフケア研究所所長を経て、東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、上智大学グリーフケア研究所・客員所員、大正大学・客員教授。専門は近代日本宗教史、宗教理論、死生学、生命倫理。著書:『宗教学の名誉30』(ちくま新書、2008年)『国家神道と日本人』(岩波書店、2010年)、『日本人の死生観を読む』(朝日新聞出版、2012年)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日新聞出版、2019年)など。
概要
日程 2024年12月15日(日)
時間 14:00〜16:30
受講料 一般:1000円
会員:500円
学生:500円
会員学生:500円
会場 緑が丘文化会館 第10研修室
※本講座は対面講座です。ライブ配信はございません。
※キャンセルは、講座3日前の12月12日(木)14:00まで受け付けます。それ以降のキャンセルはお受けできませんので、ご了承のほどよろしくお願いいたします。
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