島薗進ゼミ
「あなた自身の死生観のために――グリーフケアの向こう側」(全3回)
現代人のなかには自分自身の死生観を探求する人が多い。かつては死をめぐる儀礼や習俗や宗教の教えがあって、それらをそのまま受け入れているというのではなくても、あえて自らの死生観を求めるというふうにはなかなかならなかった。ところが、地縁血縁が弱まり、死に向き合うときも自分自身で考え、行動しなくてはならない場合が増えている。終活や墓じまいなどという言葉がはやる所以だ。「あなた自身の死生観」が求められ時代と言えるが、では、私たちはそのためのどのような文化資源をもっているだろうか。日本文化には豊かな死生観の表現があり、生活文化のなかにたくわえられてきたり、宗教を通して培われたり、文芸作品(うたや物語)によって描き出されてきたりした。それはまた、死者との別れを悲しみ、それを人々と分かち合う様式の諸相とも言える。このゼミでは、聴講者の皆さんとともに、そうした死生観の素材を取り上げるとともに、グリーフケアを通してどこへ向かおうとしているのかを考えてもいきたい。(島薗進)
島薗進 Shimazono Susumu
宗教学者/東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、大正大学客員教授。1948年生。東京大学大学院博士課程・単位取得退学。東京大学大学院人文社会系研究科・教授、上智大学大学院実践宗教学研究科・教授、上智大学グリーフケア研究所所長を経て、東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、上智大学グリーフケア研究所・客員所員、大正大学・客員教授。専門は近代日本宗教史、宗教理論、死生学、生命倫理。著書:『宗教学の名誉30』(ちくま新書、2008年)『国家神道と日本人』(岩波書店、2010年)、『日本人の死生観を読む』(朝日新聞出版、2012年)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日新聞出版、2019年)など。
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