【こころをめぐる冒険 Ⅱ】

 

第1回「日本文化は「むなしさ」に耐えれるか?

最相葉月×きたやまおさむ

コーディネーター:島薗進

 

今回は、ノンフィクションライターの最相葉月さんと精神科医かつ歌手であるきたやまおさむさんにご登壇いただき、現代日本文化を念頭において「こころをめぐる冒険」を試みます。

最相さんには「信じれば救われる?!」という題でお話しいただきます。「近年は精神医療・カウンセリング、キリスト教の現場を取材してきました。そこで出会った人々の生き方や言葉から、この国が抱える問題点が浮きぼりになりました。道徳や秩序が崩れ、「社会の底が抜けた」という表現をよく目にする昨今、精神医療や宗教は生きる助けになるのかを考えたいと思います」。

きたやまさんには「「むなしさ」を分析する〜文化から学ぶ」と題してお話しいただきます。「もともと日本語には「むなしさ」「はかない」「うつろい」と、無常感を表現する言葉が豊富で、これに美を感じる向きもある。もちろん、これに圧倒され巻き込まれると自虐性と連動し危険であるということも知るべきだろう」。

このお二人のやりとりに島薗が加わり、精神医療と宗教と宗教研究は現代に生きる日本人の支えとなるものを見定められるのか、ともに考えていきたいと思います。(筆:島薗進)


最相葉月 Saisho Hazuki

1963年東京生まれの神戸育ち。関西学院大学法学部卒業後、会社勤務を経てフリー。音楽、スポーツ、科学技術と人間の関係性など幅広いジャンルで取材執筆。近年は精神医療、カウンセリング、キリスト教などを取材。『絶対音感』(小学館1998)で小学館ノンフィクション大賞、『星新一 一〇〇一話をつくった人』(新潮社2007)で大佛次郎賞、講談社ノンフィクション賞、日本SF大賞など、『証し 日本のキリスト者』(KADOKAWA2023)でキリスト教書店大賞を受賞。ほかに『中井久夫 人と仕事』(みすず書房2023)、『母の最終講義』(ミシマ社2024)、最新刊は口笛の世界チャンピオン武田裕熙さんとの共著『口笛のはなし』(同前2025)

きたやまおさむ Kitayama Osamu

精神科医、作詞家。1946年淡路島生まれ.72年京都府立医科大学卒業.ロンドン大学精神医学研究所にて研修後,北山医院院長を経,2010年まで九州大学大学院人間環境学研究院・医学研究院教授.現在は,九州大学名誉教授,白鷗大学学長.専門は精神分析学で,開業における臨床活動が主な仕事であり,日本精神分析学会元会長.また学生時代にミュージシャンとしてフォーク・クルセダーズで活躍し,作詞家として知られる.一般向けの著書は『コブのない駱駝』(岩波書店2016),『「むなしさ」の味わい方』(岩波新書2024)など。

島薗進 Shimazono Susumu

宗教学者/東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、大正大学客員教授。1948年生。東京大学大学院博士課程・単位取得退学。東京大学大学院人文社会系研究科・教授、上智大学大学院実践宗教学研究科・教授、上智大学グリーフケア研究所所長を経て、東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、上智大学グリーフケア研究所・客員所員、大正大学・客員教授。専門は近代日本宗教史、宗教理論、死生学、生命倫理。著書:『宗教学の名誉30』(ちくま新書、2008年)『国家神道と日本人』(岩波書店、2010年)、『日本人の死生観を読む』(朝日新聞出版、2012年)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日新聞出版、2019年)など。


概要

日程  2025年5月11日(日)

時間  14:00~16:30(開場13:30)

受講料 一般:2500円

    会員:2000円

    学生:1500円

    学生会員:1000円

会場  緑が丘文化会館203号室

     MAP
※本講座は対面講座です。ライブ配信はございません。オンデマンド配信につきましては、講座終了後に別途ご案内いたします。
※キャンセルは、講座3日前の5月8日(木)14:00まで承ります。それ以降のキャンセルはお受けできませんので、ご了承のほどよろしくお願いいたします。


お申し込み

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